フリーランスモデルを起用したいけど、「クオリティは大丈夫?」「トラブルが起きない?」と不安に感じていませんか?
この記事では、フリーランスのモデル(以下、「フリーモデル」)を成功に導くポイントや、リスクを最小限に抑える秘訣を解説します。
クリエイティブ製作の現場で数百人以上のフリーモデルを起用してきた、私が解説します!
痛い目にも会いましたので、そのあたりも開設します。
この記事を読むことで、安心してフリーモデルを起用できるようになります。
フリーモデルとは?
まず大前提として、モデルを名乗るために、特別な資格や経験は不要です。
この記事を読んでいるあなたも、名乗った瞬間からモデルになることが可能です。
そしてフリーモデルとは、フリーランスのモデルを指す言葉です。
事務所に所属しているモデルであれば、所属するまでに何等かの審査が行われている可能性が高いですが、フリーモデルは誰からの審査も受けていません。
そのため、フリーモデルとして活用している方もピンからキリまでが存在していて、
トップクラスのモデルと遜色ない外見のモデルから、
一般人と変わりない程度のモデルまでが存在します。
専業で生計を立てられるモデルは一握りのため、副業やパート・アルバイト感覚で活動されている方も多く存在します。
10代~20代の女性が主な層ですが、老若男女問わず様々な方が活動していて、さらには手や髪などのパーツモデルや、ペットなどもキャスティング可能です。
フリーランスモデルの起用はアリ?まずはメリットとデメリットを把握しよう
フリーモデルを起用する際、コスト削減や柔軟性を魅力に感じる方は多いかと思いますが、クオリティやリスクに関する懸念も少なからず存在すると思います。
本章では、フリーモデルを起用するメリットとデメリットについて解説し、企業が抱える疑問に答えます。
実際の経験を踏まえた具体例も交えて、起用を検討する際の指針を提供します!
フリーランスモデルの最大の魅力はコスト削減と柔軟性
フリーモデルを起用する最大のメリットは、コスト削減と柔軟性の高さです。
コスト削減
事務所所属の場合、費用が高額であることはもちろんですが、撮影での拘束に対する費用のほかに、
掲載を行う権利(パブリシティ権)に対する支払いも発生します。
最低でも1名の起用で数十万円程度は見込む必要があります。
掲載先によっても費用が変動しますので、さらに高額となることがあります。
フリーモデルの相場としては、1時間の拘束につき5,000円~10,000円程度が一般的で、終日の撮影を行ったとしても10万円を超えることは稀です。
柔軟性
事務所所属のモデルを起用した場合、掲載期間にも限りがあることがほとんどで、
一般的には3か月~12か月程度で設定される場合が多く、
その期間を超えた場合は、契約の延長や再撮影を行う必要があります。
また、事務所所属のモデルはキャスティングする前に掲載先について合意する必要があり、
それ以外の方法での使用をする際には変更契約が必要となり、追加費用が発生することが一般的です。
フリーランスモデルの場合、掲載期間や掲載先について柔軟に交渉が可能となりますので、期間や掲載先に制限のない契約とすることも可能です。
さらに、ある程度の知名度のあるモデルやタレントを起用する場合、広告掲載前に事務所によるチェックが行われることがあり、そのチェックの結果によっては、修正が必要となることもありますが、フリーモデルであれば、そのようなチェックを省略することが可能です。
気をつけたいデメリットとリスク
一方で、フリーランスモデルにはデメリットやリスクも存在します。
筆者が実際に遭遇した状況をいくつかご紹介します。
写真と全然違う
フリーランスモデルをキャスティングする際、事前にSNSにアップロードされた画像やポートフォリー(過去の撮影素材)などを参照するかと思いますが、事前に確認した写真と全然違う・・・!ということは多くあります。
まずSNSについては、盛れるアプリで撮影されている場合があるため、それにより判断を誤ることがあります。
また広告の画像の場合も大幅な修正が行われている、ということも多々あります。
加工や修正を完全に見破るのは難しいのですが、なるべくは多くの画像を確認し、画像により外見のばらつきが大きくないか確認しましょう。
SNSの画像は加工されている可能性が高いので、できれば過去の広告撮影などの画像を参照するとより確実になります。
また、専業ではない方もいるため、事前に見た画像と髪型やネイル、体系などが変化している可能性もありますので、事前に確認することも重要です。
ヘアケア商品の撮影に起用したモデルさんの髪色が、SNSの直近投稿では黒髪だったのが、
当日スタジオに来た際にはかなり明るい色に変わっていたのは焦りました・・・
ドタキャン
フリーモデルと一括りに言っても、専業でプロ意識を持って活動されている方から、アルバイトや副業の感覚で活動をされている方まで様々です。
特に本業として活動をされていない方はプロ意識がなく、撮影当日のドタキャンも多い傾向にあります。
事務所所属のモデルであれば、事務所の方が撮影に同行し、責任をもって対応をしてくれるので、それと比較すれば、フリーモデルの方がドタキャンのリスクは高いと言えます。
例えば、筆者が経験した案件では、フリーランスモデルが撮影当日になって連絡が取れず、別日程での再撮影が必要となったケースがあり、スタジオやカメラマン、ヘアメイクなどを2重で手配する必要があり、結構な出費が発生しました。
その撮影は幸い納期がタイトでなかったために再撮影で事無きを得ましたが、広告掲載が迫っている状況であれば、それ以上の損失が発生していたことでしょう・・
ドタキャンのリスクが一定存在することを念頭に置き、例えば2名が必要な撮影であっても、
3名を起用しておくなどのリスクヘッジをすることがおススメです。
事前にOKをもらっていたのに・・
フリーモデルは少額の取引のため、事前の打ち合わせを省略し、文章でのやり取りをすることが一般的です。そのため、認識齟齬が発生することがあります。
事前に撮影内容を文面で送付していましたが、いざスタジオに来て対応ができない、と断られたケースがありました。
モデルが撮影の対応ができないケースとしては、「NG」と「競合排除」が主な理由となります。
NGについては、服装や髪型、メイク、特定のシチュエーションなどにより、モデルのイメージが崩れる可能性がある、などの理由で、撮影を断っているものとなります。
競合排除については、過去に起用した企業が、同業他社の商材の撮影を禁止している状況です。
クライアント企業や撮影の指示書などを事前に共有することで一定は防ぐことが可能です。
情報流出などのコンプライアンスリスク
フリーモデルを起用する場合、情報流出のリスクにも注意が必要です。
プロとしての活動経験があるモデルであれば、当然理解しているところですが、副業感覚の方は無自覚に情報流出に繋がる行為を行うことがあります。
例えば、新商品発表用の撮影で起用したフリーモデルが、撮影現場の写真をSNSに投稿し、発表より前に情報が流出してしまうなどのケースも実際に存在します。
一般人に近い存在なので、「有名な企業から案件が来た」「有名な人と同じスタジオで撮影した」などの状況を自慢したくなってしまう人もいます・・
所属事務所モデルはコンプライアンスの教育が徹底されていますが、フリーモデルは特段の教育を受けていないため、その前提で警戒しながら付き合う必要があります。
これを防ぐためには、そもそも秘匿性の高い撮影には起用しない、機密保持契約を結ぶなどの対応が考えられます。
リスクを最小限にするためにすべきこと
これまでの話をまとめると、起用までに以下の手順を踏むことによりリスクを最小限にすることが可能です。
- 撮影日が直近で、カメラマンが撮影した(セルフィーでない)画像を確認して、起用するモデルを選定する
- 撮影日時点の髪色・髪型・ネイルの有無などを確認する
- ドタキャンのリスクに備え、予備の人員を起用する
- 撮影内容やクライアント企業について事前に伝え、認識齟齬の発生を防ぐ
- 秘匿性の高い商材の撮影の場合は、情報を提供する前に機密保持契約を結ぶ、事務所所属モデルに切り替えるなどの対策が必要
成功事例から学ぶ!フリーランスモデルを活用した効果的な広告素材制作
ここまでフリーモデルを起用する際のリスクやデメリットの面を多く説明しましたが、それを踏まえても、フリーモデルの起用には大きなメリットがあります。
本章では、具体的な成功事例をもとに、フリーランスモデルの起用がもたらすメリットを詳しく解説します。
SNS広告でフリーランスモデルを安価に多数起用し、A/Bテストを実施
フリーモデルは、事務所所属モデルに比べ、大幅に安価に起用が可能です。
このコストメリットを享受し、事務所所属モデル1名分と同じ予算で10名以上のフリーモデルを起用した例があります。
このケースでは、SNS広告やその遷移先のランディングページを、モデルを変更した複数のパターンを作成し、A/Bテストを行いました。
その結果、これまでの広告に比べ、クリック率やコンバージョン率が大幅に改善しました。
同じ予算で多数のモデルを撮影した画像を入手できることは大きなアドバンテージとなります。
商品パッケージに起用し、売上UP
事務所所属のモデルは掲載期限が設定されることが一般的なため、商品パッケージに起用した場合、
掲載期限を延長することを視野に入れるか、もしくは契約期間中に売り切れる数量に生産を限定するなどの管理が必要となり、起用の難易度が高いと言えます。
フリーモデルであれば、掲載期限なしの契約も可能なため、商品パッケージの掲載画像としても利用しやすいです。
実際にフリーモデルを起用したパッケージに変更し、売上が倍以上に伸びた企業も存在します。
短期プロジェクトでの柔軟性が高いフリーランスモデルの活用
短期プロジェクトや突発的な撮影にも対応できるのが、フリーランスモデルの大きな強みです。
スケジュール調整がしやすく、事務所を介さず直接交渉できるため、急な案件にも迅速な対応が可能です。
大手の事務所であれば、契約書の確認や締結が必須となるため、問合せから撮影までに最短でも2週間程度は見込む必要があります。
例えば、プロモーションイベントの直前に急遽撮影が必要になった場合でも、フリーランスモデルを活用した企業は、迅速な手配でトラブルを回避し、予定通りにコンテンツを公開できました。
初心者でも安心!フリーランスモデル起用時に押さえるべき5つのステップ
フリーランスモデルを起用する際、初めての試みでは何から手をつければよいかわからない方も多いのではないでしょうか。
本章では、初心者でも安心してフリーランスモデルを起用できるよう、具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。
これを参考にすれば、スムーズにモデルを起用し、トラブルを防ぐことが可能です。
モデルの候補者探し
フリーランスモデルを探す際には、フリーモデル専門のキャスティング会社や、フリーモデルの専用のマッチングプラットフォーム、SNS(Instagramが主流)を利用します。
それぞれのメリット・デメリットを整理します。
手段 | メリット | デメリット |
キャスティング会社 | ・過去取引を踏まえ、信頼できるモデルを紹介してもらえる ・実際にモデルを見ているため、選定時に候補者を推薦をしてもらえる ・「和服が似合いそうな人」のような感覚的な絞り込みにも対応できる | ・モデルへの支払以外にマージンが発生するため、高額になりやすい |
マッチング プラットフォーム | ・過去に起用した企業からの評価を参照できる ・年齢や性別、地域などの条件での絞り込みが可能 | ・モデルへの支払以外に手数料が発生するため、高額になりやすい ・定量的な条件以外での絞り込みは難しい |
SNS | ・マージンや手数料が発生しないため、適切に交渉できれば最も安価に起用できる | ・ハッシュタグの検索のため、条件での絞り込みが出来ず、選定に工数がかかる ・SNSの情報のみで判断する必要があるため、イメージと違う状況や、ドタキャンの発生率が高い |
キャスティング費用としてはSNS経由で直接契約する方法が最も安価となりますが、実際にやってみると結構大変です・・・
主にInstagramを利用することが一般的ですが、以下のポイントで苦戦することとなるでしょう。
- #撮影モデルや#フリーモデルなどのハッシュタグでの検索となるため、年齢や性別、地域での絞り込みができない
- ポートフォリオが別リンクとして用意されている場合が多く、一覧性が悪い
- モデル側も犯罪行為や性的なコンテンツの撮影などを警戒しているため、一定以上の知名度がある企業やブランドでなければ、返信がもらえないことがある
- 単発の取引の場合、高額な条件を提示される場合があり、さらに適正価格の判断が難しい
- ドタキャン歴などを確認できないため、ドタキャンリスクが高い
継続的に複数のモデルを起用する場合には、直接取引が良いかと思いますが、単発での起用の場合はキャスティング会社やマッチングプラットフォームの方がお勧めです。
キャスティング会社であれば、直接モデルと面識があるため、「髪が綺麗な人」や「可愛らしい感じの人」などの定性的な条件であっても、候補者を見繕ってくれるため、モデルの選定になれていない場合には、まずはキャスティング会社経由での起用をお勧めします。
キャスティング会社の中にも、高額なマージンを乗せている会社は存在するので、複数の会社で相見積を取得しましょう。
ポートフォリオ確認の上、モデルを選定する
候補者が出そろったら、ポートフォリオを確認し、最終的に依頼する人を選びます。
ポートフォリオはなるべく自撮りやSNS掲載画像を避け、過去の商用撮影の画像を見ると、写真と実際の差異が大きくないモデルを選べる可能性が高まります。
前述の通りですが、何度も取引しているモデルでなければドタキャンリスクは一定存在するため、予備のモデルも含めて、最低限必要な人数+1~2名程度を起用することが重要です。
同意書や契約書で重要なポイントを明確にする
撮影前後に揉めた場合、撮影画像を掲載できない事態に繋がる可能性があるため、後から揉めない状態を作るために、書面で合意した証跡を残すことが重要です。
フリーモデルは個人のため、企業間で取り交わすような仰々しい契約書を提示すると驚かれる場合があります。
なるべくは平易な表現で同意書のような形式とする方が好ましいです。
同意書では掲載先や掲載期間、秘密保持について特に明示する必要があります。
事前に当日同意してもらう同意書をデータで送付しておいて、撮影当日に記入してもらうという流れだとスムーズです。
撮影前のコミュニケーションをしっかりとる
事前のコミュニケーションは、撮影の成功を左右する重要なポイントです。
事前に撮影内容や求めるポーズや、撮影のイメージを共有しておくことで、当日のトラブルを防ぎ、スムーズな進行が可能になります。
スタイリストやヘアメイクを用意しない低予算の撮影の場合、服装やメイクもモデル側に委ねる必要があるため、服装・メイクの指示についても、参考画像などを提示し、明確に伝えます。
スタイリストが服を用意する必要がある場合も、サイズなどを確認しましょう。
撮影日程や撮影場所の案内についても、企業間での連絡以上に丁寧に行う必要があります。
日時・場所を文面で明確に送付し、前日にもリマインドを行うなどにより、ドタキャンを防ぐことにもつながります。
撮影現場は明るく、丁寧に
初回の取引では、モデル側も怪しい企業や怪しい撮影でないか?と警戒していることがあります。
到着した際に明るく挨拶をする、世間話でアイスブレイクするなどで、警戒心を解くことが可能です。なるべくは早いタイミングで警戒が解けると、その後の撮影に関するコミュニケーションも取りやすくなります。
撮影中も、良い点を褒めることで、緊張も和らぎ、より良い表情での撮影が可能となるので、適宜コミュニケーションを取りながらの進行を行いましょう。
よくある質問
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Qフリーランスモデルの契約はどのように進めるべきですか?
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A
フリーランスモデルとの契約では、秘密保持条項や掲載期間・掲載先を明確にすることが重要です。また、支払い条件やキャンセルポリシーも詳細に定め、双方が納得した形で契約を結びましょう。オンラインツールを活用すると効率的です。
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Qフリーランスモデルを初めて起用する際、どこから探せば良いですか?
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A
フリーランスモデルを探す際には、キャスティング会社やクラウドソーシングサービス、SNS、を活用するのが効果的です。キャスティング会社の場合、相見積を取得し、請求額が適正な業者を選びましょう。
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Q撮影当日のトラブルを防ぐにはどうしたら良いですか?
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A
撮影当日のトラブルを防ぐには、事前にモデルとコミュニケーションを取り、撮影スケジュールや注意事項を共有しておきましょう。また、予備モデルを確保しておくことでリスクを最小限に抑えられます。
まとめ
- フリーランスモデルの起用は、コスト削減と柔軟性が大きな魅力ですが、クオリティやリスク管理が重要です。
- モデルのポートフォリオや過去の実績を確認し、実態と乖離がないモデルを見極めましょう。
- 撮影内容を明確化し、掲載期間や掲載先、秘密保持を明示することでトラブルを防ぎやすくなります。
- 撮影前のコミュニケーションや、予備モデルの確保が、当日のトラブル回避に効果的です。